ヨコ子/結婚には焦っていないといいはるアラサ―女子
並外れた推理能力と取調べの技術で事件を解決してきた平成生まれの弊社の新顔、"やまさん"の存在感に戦々恐々としているヨコ子です。いつか私も、落とされるに違いない・・・。
そんなハードボイルドな日々から逃れるかのように、先日小樽へと足を運びました。昨年の12月から小樽文学館で行われている企画展「よくまぁ こんなに展―高山美香のちまちまワールド―」を見に行ったのです。
高山美香さんは札幌在住のイラストレーター。数年前から、文豪や偉人たちを模した"ちまちま人形"が話題となっています。昔から偉人、なかでも"文豪"に興味津々な小生。朝日新聞の連載コラムや方々で"ちまちま作品"の話題を聞くたび、想像を膨らませており、今回運よくタイミングが合ったというわけです。
会場に足を踏み入れるや、世界中の偉人たちがガラスケースに入れられるでもなく無防備にズラリ。その数130体というボリューム。そして、どれも10センチ未満の大きさでありながら、衣服や小物など細部にわたり精巧に作られており、その根気を要する作業を思うと頭が下がります。まさに"ちまちま"と時間を要して作り上げているのでしょう。
人形の素材は、FIMO(フィモ)というオーブンで加熱すると固くなる粘土。メガネや本などには木材やプラスチックなども使っているそうです。何時間も書斎に籠るであろう文豪の灰皿を2つ重ねにしていたり、ちゃんと先が焦げている小さな煙草、背中に背負った荷物の中身にいたるまで、見える見えないに関わらず随所にこだわっており、ついまじまじと見入ってしまいます。
また、人形に添えられた意外なエピソードが、作品の面白さを倍増させるんです!
THE文豪、夏目漱石大先生
授業中のおサボリ道具として、友達から回って来る漫画に加え、国語便覧を熟読していた小生にとってはウフフな内容ばかり。国語便覧って、読み方によっては今でいう週刊誌みたいな内容だと思いませんか。与謝野鉄幹が北原白秋の原稿をトイレの紙に使っていて、それを知った白秋が大激怒でチームを抜けるとか、中原中也がNHKの入社試験で「受付でもやらして」と答え不合格になったとか。誰がこーした、あーした、というさもない話題が、大真面目に載っているところが笑えます。
今回の企画展のなかで衝撃的だったのは、かの、大発明王エジソンは、技術者たちを実験が成功するまで鍵をかけて研究所に監禁したそうな・・・。やはり、天才と狂気は紙一重です。
自由にウェブにアップしていい、との大らかさも北海道ならではでしょうか。
以下、偉人たちです。
頭にペットの猫をのせ平和を訴えます。エイブラハムリンカーン
よおく、見てください。泣き虫アンデルセンの眼にうっすらと涙が滲んでいます。琴線が震えます。
悲しみはよごれつちまったわけです・・・やさぐれ感漂う中原中也。
下から顔を覗き込みたくなる、太宰治。
そして極めつけは、こちら。
発寒商店街の源光さんだそうです。世界の偉人と肩を並べる人物が発寒にいたとは・・・。
ジャック・ニコルソンよりも、個人的にはそのロナウジーニョ似の妻のほうに恐怖を覚える名画、『シャイニング』の趣向を凝らした仕掛けも、また一興。
高山さんが "ちまちま作品"を生み出すまでを模索する苦悩の日々もわかるヒストリーもあわせて展示されており、何だか勇気をもらえます。企画展は4月1日まで開催されており、3月3日には、高山さんのトークショーもあるそうなので、興味のある方はぜひ。
久々に感じた文学の風が、心地よい休日でありました。
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